岩手県立図書館は、1922(大正11)年4月20日に現在の内丸緑地に開館し、今年で100周年を迎えます。
本県では明治に入ってから公共図書館創設の機運が高まったものの、財政難から実現に至っておりませんでしたが、当時の宰相である原敬より図書購入費として1万円の寄付を受け、総建築費7万4485円をかけて完成しました。
その後、老朽化と蔵書や利用者の増加で手狭になったことから、67年には世界的な建築家である菊竹
三代目の新図書館は、蔵書数が81万4964冊(21年3月末)、20年度利用実績は、コロナ禍の影響もあり入館者が24万7千人(前年度比14万2千人減)、一般貸出冊数が19万4千冊(同2万7千冊減)となっています。また、郷土資料の充実を図る観点から宮沢賢治や石川啄木の資料収集に取り組んでおり、集められた資料の一部はウェブ上で閲覧できます。
県立図書館の始まりは、1920年の夏に原首相が岩手県知事、盛岡市長と面会した際に、図書館の創設を提案したところ、知事が県による建設を申し出てまとまったことによるものです。原の強い思いにより建設が実現した図書館でしたが、翌年11月4日、東京駅で青年の凶刃に倒れ、自身が完成をみることはありませんでした。
生前、原は高等教育・産業・鉄道網・国防の4つを拡充することを重要課題として推進しました。県立図書館は郷里に残した原の遺産の一つで、基金の利息は44年まで図書の購入に充てられたといわれています。大切にしたい岩手の遺産です。
- 問合せ先:岩手県立図書館
- TEL:019-606-1730
- 創立100周年記念展
期間:2月19日~5月5日 - 開館時間:9時~20時
- 休館日:月末(土日の場合は前日)、3月25日~31日。
(岩手経済研究2022年4月号で紹介)