花巻市の星ヶ丘、花巻東高校前に知的障害者による美術作品などを展示する 「るんびにい美術館」があります。障害者への支援事業を行う社会福祉法人光林会が運営しており、名前の由来は仏教系の社会福祉法人であることからブッタの生誕地であるネパール南部のルンビニーにちなんで名付けられました。
同法人は昭和43年、市内石鳥谷町にある光林寺が、境内の一角に知的障害児施設と障害者支援施設を開園したことに始まります。「慈悲の実践」の理念を基に設立されましたが、美術館も支援事業の発展した形として、障害者の美術作品の発表を通した地域交流を目的に平成19年11月にオープンしました。2階はアトリエになっており、施設などから通うアーティストたちが日々制作に励んでいます。
知的障害のあるアーティストが制作した作品は、流行や他人の評価に左右されない、内から湧きあがる独創的なエネルギーによる素直な表現が特徴で、「元気になるエネルギーや命のパワーを貰う」という来館者の声も多く聞かれます。
障害者と健常者、大人と子供、性別や人種、国境など世の中には無数のボーダー(境界)がありますが、展示された作品からは、この境界を消し去り、「創りたい」とただ一心に思う障害者のボーダレスな心がストレートに伝わり、普段見過ごしがちな「命の輝き」について見つめ直す機会にもなっており、「命のミュージアム」とも呼ばれています。
10周年を迎え、現在企画展「きよしさん さなえさんならこう展示するそうです!」を4月17日までの予定で開催しています。きよしさん、さなえさんともに、アトリエに通い制作するアーティストですが、今回は展示方法もそれぞれご自身で企画し、独創的で自由な発想を駆使したギャラリーとなっています。
また、アトリエでは平日の午前には作品の制作現場を見ながらアーティストと交流することもできるほか、1階にはカフェやベーカリーなどがあります。カフェではおいしい料理やコーヒーを味わいながら休憩も可能なほか、パンやラスクは館内で焼かれ、焼き立てを食べることもできます。
- 問合せ先:るんびにい美術館
- 入場料:無料
- 休館日:水曜日・第4火曜日
- TEL:0198-22-5057
(岩手経済研究2018年3月号で紹介)