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南昌山

最終更新日:2012年12月1日
南昌山 ~矢巾町・雫石町~

盛岡市の南西方向には、標高1000メートルに満たない低山がいくつも連なっています。なかでもひときわ目立つのが、釣鐘のような形をした「南昌山」(矢巾町・雫石町)です。この山は、地中で棒状に固まった溶岩が長年の風雨で周囲が浸食され、地表に現れたものだとされており、こうした地形は地質学では 岩頸 がんけい と呼ばれています。ブナの原生林が広がるなど市街から程近い割に自然豊かな山で、毎年6月に行われる山開きには多数の地元登山客で賑わいます。

古くから盛岡では「南昌山に雲がかかると雨が降る」と言われてきました。また、竜神が住む山とされ、頂上には雨乞い祈願の獅子頭(権現様)が奉納されているなど、信仰の対象としても親しまれている山です。

宮澤賢治は学生時代、親友の藤原健次郎とともにたびたびこの山を訪れて、山麓に産出する水晶や「のろぎ石」と呼ばれる鉱物を採集し、その経験を日記や短歌に残しています。

「まくろなる 石をくだけば なほもさびし 夕日は落ちぬ 山の石原」

「毒ヶ森 南昌山の 一つらは ふとおどりたちて わがぬかに来る」

こうした短歌のほか、童話「楢ノ木大学士の野宿」などの作品にも南昌山が登場します。最近の研究では「銀河鉄道の夜」の舞台がこの山だとする説を唱える研究者もいて、注目が集まっています。

(岩手経済研究2012年11月号で紹介)